導入事例 CASE STUDY

経理部門で解決したい4つのテーマがすべてクリアできた

取締役経営管理部長<br />
乾 隆志 氏
乾汽船株式会社 取締役経営管理部長
乾 隆志 氏

※役職等の掲載情報は発行当時のものです。

2014年4月に創業110周年を迎える乾汽船はハンディサイズのバラ積み船隊を通じてグローバルな外航海運業を展開している。同社では2011年に海運業向けの戦略会計システム「TRANS-Account」を導入し、会計業務の効率を格段に向上させている。取締役経営管理部長の乾隆志氏にそのポイントを聞いた。
  • 導入のきっかけ・課題

    連結財務諸表を作成するにはどうしてもマンパワーに頼らざるを得ず、さらに新たな国際会計基準(IFRS:イファース)への対応も重要な検討テーマでした。

  • 導入後の効果

    複数の通貨で発生した未精算勘定をドルなどの精算通貨に一斉に換算して相殺精算する機能や決算時の外貨評価替機能があり、いちいち電卓を叩く必要がなくなりました。

海運業のことを理解した会計システム

―会計システム「TRANS-Account」を導入して3年が経過します。導入のきっかけを教えて下さい。

 ご承知のように海運業は外貨、つまりドルベースでお金が日々動きます。また弊社は証券取引所に上場しており、決算は海外子会社を含めた連結財務諸表で開示する必要があります。しかし従前の会計ソフトは円のみの対応で、決算報告書も単体ベースで作成するのが前提でした。連結財務諸表を作成するにはどうしてもマンパワーに頼らざるを得ず、さらに新たな国際会計基準(IFRS:イファース)への対応も重要な検討テーマでした。2009年10月から翌10年3月までの約6カ月間を検討期間として、複数社のなかから最終的にAIS社の「TRANS-Account」に決めました。

―決め手は何でしたか。

 理由はさまざまですが、まず挙げたいのは、もともと海運業に特化した会計システムとして基礎部分がしっかりしていた点です。通常こうした会計システムを構築する場合、細かな部分ではカスタマイズが必要でその分費用も嵩みます。しかし「TRANS-Account」では海運業の経理で必要となる諸機能が標準装備されていました。カスタマイズが少ない分導入コストも削減でき、業務適応率が非常に高かったと言えます。また、検討時には実際に導入している同業社にAIS社製品の評価を聞きにいき、いずれも安定稼動していると聞いたのも安心材料でした。

―実務的なメリットを教えていただけますか。

 まず外貨管理ですが、円しか対応しないソフトの場合、入力時に人間が円に換算する作業が出てきます。その過程でミスが起こる可能性もあります。しかし外貨のまま管理できれば、例えば1000ドルはあくまでも1000ドルと入力すれば、マスターとなるレートで、すぐに円換算した数字が帳簿に反映され計算や転記ミスは起こりません。また、複数の通貨で発生した未精算勘定をドルなどの精算通貨に一斉に換算して相殺精算する機能や決算時の外貨評価替機能があり、いちいち電卓を叩く必要がなくなりました。

「連結消去の不一致」が起こり得ない

―他に特徴はありますか。

 連結決算をする際、親会社と子会社の数字は合っていなければなりません。実はかなり大変な作業なのですが、これが劇的に変わりました。例えば船会社では、SPC(特別目的会社)を海外に設立してそこを船主とし、そのSPCから傭船して海運業を営むケースがあります。SPCは実質的にペーパーカンパニーで、財務・会計は親会社の管理というケースは珍しくありません。ある取引が親子間で発生するとその取引に対して借方・貸方に分けて記録する手続きを「仕訳」と言います。上の例でいけば船会社を親会社、SPCを子会社とすると、通常の会計ソフトでは両社の仕訳をそれぞれ1回ずつ、計2回行わなければなりません。しかし「TRANS-Account」ではその仕訳の入力作業が一度で済みます。例えば、子会社には親会社に対する未払金があり、反対に親会社には子会社からの未収金があるとしましょう。数字を1回入力すれば、親子間の仕訳が同時に済む。この機能があるのは「TRANS-Account」だけでした。会計的には「連結消去の不一致が減る」と言いますが、このシステムでは減るというより起こり得ない。本来なら人手と日数が必要なこの確認作業が、ボタンをクリックするだけで済むようになりました。

担当者の心理面も負担軽減に

―他にプラスに作用した面はありますか。

 経理部門の残業時間~とくに決算処理中~が、明らかに減りました。それと安心感があるという心理面での負担軽減も大きいと思います。内部統制が厳しいこともあり、各部門も日々の業務の間違いは許されません。とくに経理部門のストレスは以前に比べてかなり軽減されたと言えるでしょう。弊社としては新規会計システムの導入検討にあたり、①「国際会計基準(IFRS)への対応」、②「決算報告作業の迅速化」、③「内部統制における開示すべき重要な不備の撲滅」、④「隻数増大による経理部門の増員の防止」という4つを柱としていましたが、これらをすべてクリアできました。

―今後期待する点などはありますか。

 決算予測の機能が、新たにバージョンアップするという話をAIS社から聞いています。経理部門、営業部門、船舶部門のシステム化が一段落しましたので、今後は、船隊計画、事業計画など経営企画の分野でも期待しています。

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